医師の残業

厚生労働省の「医師の需給に関する検討会」の調査では、医師の時間外勤務(残業)平均は週間で63.3時間とありました。しかしこれはあくまでも平均値であり、調査対象は院長、副院長、部長や課長などの役職クラス、診療や当直などの当番が少ない医師、全てを含むため、医師の残業の実態は見えてきません。

若手の医師や平均的な医師でも月に90〜100時間の残業というのはさほど珍しいことではなく、外科医・産科医・小児科医などにおいてはそれ以上の残業も‘ザラ’というのが現状です。医師の労働実態は、通常勤務に加え月に8〜10回の当直をこなし、連続36時間勤務、オンコールの土日呼び出しも常態化しています。自宅で家族団らん、リラックスする時間もままならず呼び出しがあれば病院へ急行、予定外の緊急手術が入ることもあれば、学会や研究発表など諸業務もかなり多いのが医師の実際なのです。

医師の残業で特に問題になるのが「時間外勤務手当」と「過労死」です。

日本の医療法制では入院設備施設を持つ病院では、夜間・祝休日を問わず必ず医師が常駐しなければならないため、当直という勤務体制を取っています。厚生労働省の指針によると、医師の当直勤務とは病室の巡回や検温などの軽い業務に限るとし、通常勤務と同じ労働をした場合には残業扱いとするとしています。つまり医師が当直中に救急外来の患者さんの診察…、患者さんの急変対応…、緊急分娩で帝王切開処置…、などの業務を行った場合には時間外勤務(残業)になります。当直中に残業相当の業務をした場合には、時間外手当を支払う必要があります。しかしながら実態としては当直手当のみが支給され、当直の本分とはかけ離れた実残業を行っているのです。

本来、病室の巡回や検温などの軽い業務が当直であるにもかかわらず、多くは通常業務に変わらない程の仕事をこなし、翌日の勤務をフルで乗り切らなければならないため、医師にかかる心身的負担は相当なものになります。基本的に通常勤務をした医師が夜に残って当直を担当し、翌日の通常勤務に戻るため、連続36時間以上の勤務はもはや医師の間では常識、当たり前です。  

月の平均残業時間が80時間を越える場合には、過労死のリスクが高いと言われますが、医療の最前線で働く医師たちの多くは残業時間がすでに90〜100時間にも達しており、どの医師が過労死で倒れたとしてもおかしくないのが実情と言えるでしょう。こうした長い残業時間が生む極度の過労は医療の質へも影響しており、2005年に米国医師会雑誌に掲載された論文では、週80〜90時間勤務で夜間のオンコールがある研修医の集中力・注意力・判断力などの能力は、週44時間勤務の研修医が飲酒した状態と同じレベルにあると指摘しています。

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